学級崩壊していたクラスの実態のハナシ~原因はひとつじゃない【不登校にっき番外】
息子が登校拒否になっていたあいだ、一つ上の学年では完全に崩壊してしまっているクラスがありました。
学級崩壊は「ちゃんとしつけをせずに育てた親のせい」「モンスターペアレントが子供を図に乗らせるせい」などと言われていますよね。
でも私はそれはごくごく一面的な話だなと思ってます。
授業中に飛び交う罵声、こぶし、飛び蹴り…
5年生のそのクラスは崩壊も崩壊。
授業中にしょっちゅう乱闘が起きるレベルでした。
同じ学年ではなかったんですが実はこのクラスは知り合いが多くいました。
役員の人の子、PTA会長、副会長の子、習い事が一緒の息子の幼馴染、登校班の班長…
なので、相談したりされたりで私もそちらの状況はけっこう把握していました。
担任は40代後半の女の先生。
おっとりして大人しげな先生でした。
この状況だけ見ると、数人のしつけのなっていない男子が暴れていて、それを抑えられない担任の力量不足もあってこうなったように見えます。
でもこの男の子たち、ほとんどが5年生になるそのときまで「暴れん坊」という評価のあった子たちではありませんでした。
そして、実は女の子に「キツい」「いじめる」ということで名前を知られてるタイプの子がいたんですね…。
いわゆるボス女子。
1学期はまだクラスは落ち着いていました。
ただ、小競り合いのようなケンカは起きていました。
口が悪いのはこのくらいの年代の子の仕様ではあるのですが、それにしてもすごい。
だいぶ酷い。
この時担任は
どうもこういうことが何度もあったようです。
さらに、女の子は親に「私はなにもしていないのに男子に暴力を振るわれた」と報告します。
実はこの子、PTA会長の娘です。
PTA会長はアグレッシブなタイプで、「ここは俺の小学校だ」と豪語するほどのワンマンといいますか…自分の思い通りにやりたいタイプ。
激怒して即座にクレーム。それもすごい攻撃的なやつ…。
男の子の親のほうも先に蹴られたアザやひっかき傷のかさぶたを見せたりして反論したのですが、一向に聞く耳を持たなかったようです。
「男が女に手をあげてはいけない」
まあ確かにその通りなんですが、これ、なんでそう言われるかっていうと、男性の方が圧倒的に女性より力が強いからじゃないですか。
(まああと、女性はリスクがありすぎるのであまりしないから)
ですが、こと小学生までは、男子より女子の方が体格もいいしほぼすべてにおいて平均値では上回っているものなんですよね…
(成長するタイミングがちがうからです。中学校で逆転。もちろん個人差はありますが)
そういう学童期に、一方的に「男だから」「女だから」と不公平な我慢を強いるのは、別の問題を引き起こすというか、まったくの逆効果だと思うんです。
この場合は両方きっちり叱るべきだったんだろうと。
「男の子だろうと女の子だろうと叩かれたら痛い。やめなさい。」って。
そういう公平性って子供はすごくみているじゃないですか…。
不公平だと思えば相手のことを全く信頼しなくなるし、もう言うことなんか聞きません。
冷遇されたほうは憎悪をためこみ、優遇されたほうは図に乗ります。
で、そういう状況がどうなっていくかというと
こうなると。
かくして男女大戦争が勃発。
大人しい子、どちらにも与しない子たちは小さくなっておびえ、戦争してる子たちもひたすらストレスをためていきました。
そして男子同士、女子同士でもまた、ケンカやいじめが増えていく。
男子も女子も高学年になったら力も強くなって、小柄な中年女性には抑えるのはもう無理です。
毎日クレームの嵐。
当然授業どころじゃない。
戦争している男子女子、おびえている子たち、どの陣営にも「もう学校に行かせたくない」と学校を休ませる家も出始めました。
家では落ち着いているのに、学校に行くとどうしても挑発してしまう、挑発に乗ってしまう。
気が立ってしょうがない。
本人も「もう学校に行きたくない(どうしても巻き込まれちゃうから)」と言っているのですが、同時に「でも学校行かなかったら『なんで来なかった』って同じ陣営の子にいじめられる」とも言っていて。
同じ陣営同士の同調圧力もかなりきついものになっていたようです。
この同調圧力も暴れるのをやめられない原因なんでしょうね…。
男子も女子も。
もうこうなると本当に家でしつけやケアをしても、学校で子供が自主的にどうこうできる状態じゃないんです。
本人たちも、もうどうしていいかわからない。
ここまできてやっと学校が動いて、担任はホームルームだけ、他の教科や活動はすべて、同学年の他のクラスの先生が分担して行うようになります。
他の先生が来るときは、ちゃんと座って落ち着いて勉強するんですよ。
教室という空間をちゃんと仕切ってくれる人がいれば「戦争しなくて済む」という安心感はあったんじゃないかなと思うんですよね。
二学期の後半あたりから学年の最後まで、この学年はそういう体制でした。
ただそもそも先生が足りてないうちの学校…
産休にも病休にも臨時教員が来ていません。
補助の先生も足りていません。
なのでそのクラスに他のクラスの先生が来ているときは元のクラスは自習になってしまいます。
持ち回りでできるだけ大きな穴をあけないようにしているとはいえ、やはり他のクラスからの評判はよくなかったです。
もちろんこの状態をなんとかしようと、保護者も何度も解決のための保護者会を開いていました。
しかしこちらでも男子親、女子親でどうしても対立してしまうし、件のボスの子の親のPTA会長は最後までなんとか男子たちをつるし上げようとするし…。
結局どちらにも与していない子の親が「相手を責めることがなんの解決なるのか」と仲裁したり、生徒指導の先生が「自分の子供の言い分だけで押し通すのはやめていただきたい」と双方の親を黙らせたりとかなり紛糾していたようです。
この年度が終わったとき、このクラスの担任の先生は着任1年で別の学校に転任になりました。
転任先でまた同じことになっていないといいんですが…。
これね、うちのクラスもそういうとこあったんですが、結局周りの大人が最初に「担任のやりかたはおかしい」と気づけていたらまた違ったんじゃないかなとも思うんですよね…。
まあそれがものすごく難しいのが学校って場所なんですが…。
昔はこんなの当たり前だった、我慢がたりないなんてことを言う人もいますが、昔はそれで担任ぶん殴ったり、逆に学校でやるとぶん殴られるので学校の外で狼藉をはたらいていたというだけのことなんじゃないですかね…。
確かにモンスターな親もいるし、家庭環境が良くなくて荒れている子というのはいます。
けれど学級崩壊は家庭「だけ」が原因でも、先生「だけ」が原因でもない。
クラス全体として「崩壊する空気」を作り上げてしまう。
そしてクラス全体の空気を操作するのは担任なんですよね。
もちろんそれぞれいろんなケースがあるとは思うんですが、全く同じ子供でも担任が誰かによって学級崩壊するかしないか決まるんだなと思った事案でした。
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